1.4に行われた新日本プロレス年間最大興行であるWK18。
そこでは多くの出来事やサプライズがあったが、何と言っても印象に残ったのは、
メイン後の一連の展開であろう。
今大会のメインイベントは皆さんも御存知の通り、
王者SANADAと挑戦者内藤哲也によるIWGP世界ヘビー級選手権であった。
内藤哲也にとっては初となるIWGP世界ヘビー級王座戴冠、
そして東京ドームでの大合唱が懸かったこの一戦はビッグマッチのメインに
見合った好勝負となった。
結果は多くのファンの期待通りに内藤哲也が勝利し、
あとは大合唱を待つばかりとなったが、そこに現れたのは元LIJ、
そして現在はHOTでヒールとして大いに存在感を増しているEVILであった。
メイン後、東郷とともに乱入したEVILは内藤哲也のマイクを阻止しようと
暴行を加えたが、それを助けたのはLIJのメンバーではなく、
なんとこの日内藤哲也に敗れた、こちらも元LIJ、そして現在はJ5GのSANADAであった。
SANADAは内藤哲也を急襲したEVILをシャイニングウィザードで蹴散らし、
その後涙を見せてリングをあとにした。
つまり結果的にメインのリング上は元LIJのメンバーによって、
より多くの見せ場を作ったということになる。
まず最初に登場したEVILであるが、離脱当初はファンに受け入れられず、
ヒールとしても難しい時期が続いたかと思う。
しかし昨年頃からだろうか、EVILは徐々に自身のヒール像を見出し、
それに伴いファンからの支持も得てきたように思う。
結果今では新日本プロレス最高のヒールとして、自団体だけではなく、
NOAHとも抗争を繰り広げている。
そんなEVILが元師匠とも言える内藤哲也を襲撃してきたわけだから、
それを見ていたファンは大いに盛り上がった。
そしてそれを救出に来たSANADAだが、彼もまた自分を高めるために
LIJを飛び出した一人である。
その結果団体の至宝のタイトルを手に入れたが、そこに待っていたのは、
残酷な事実であった。
4度の防衛を重ね半年間王座を守ったが、プロレスラーの名誉とされる
プロレス大賞を獲得したのは内藤哲也であり、
またファンからの支持も多くを得られず、この試合も戦前から内藤哲也の支持が
圧倒的であった。
だが試合後に起きた救出劇時に受けた観客からの声援は、
もしかするとSANADAが最も欲しかったものかもしれない。
退場時の涙はそんなこともあり、寡黙な男に色々な感情が沸き立ったのだろう。
そしてこの日の主役であった内藤哲也。
やはりこの男は役者が違うという言葉がぴったりであるかと思う。
なぜならこの日登場したEVIL、そしてSANADAはやはり内藤哲也を超えるために、
今も彼を追いかけているからである。
それが結果的に彼らの成長を促していることを考えれば、
まだまだ新日本プロレスの中心にいるべき存在であるかと思う。
はたしてこの3人の運命は再び交錯するのか。
何が起こっても不思議ではないプロレスというジャンルであれば、
その可能性はゼロではないだろう。