前回の記事で、今年大きな話題となったベルトの統一論争を振り返ってみたが、
今年のドームのところまでで区切りとしたので、今回はその続きを書いていきたいと思う。
WK14のタイトルマッチ2連戦で逆転の飯伏幸太と言うべき2連勝を達成し、
2冠王者となった飯伏幸太。
そして大会明けの記者会見などで本格的に統一を提言するようになった。
それはタイトルを統一するだけでなく、物理的にベルトも一つにし、
新しい概念を生み出そうというものだ。
これに多くのファンが反応したわけだが、それはおおよそ飯伏の発言に
否定的なものであったと言えるだろう。
『これまでのIWGPヘビーやICの歴史を否定するのか』
『初めてチャンピオンになっただけで、そこまでの権利があるのか』
などの意見が多かったと記憶している。
そして当事者たる新日本のレスラーたちもおおむね否定的であったかと思う。
その急先鋒はオカダであると思うが、飯伏を邪神と呼び、
タッグを結成したときはあからさまに態度に示していた。
このように飯伏は自分が求めてやまなかったベルトを保持したのだが、
ピープルズチャンプとなることは出来なかったと言えるだろう。
そしてそのような状態でSANADAとの初防衛戦を迎え、
無事タイトルを防衛した飯伏の前にあの男が現れた、
そう、それは前二冠王者内藤哲也である。
多くのファンはその時2冠王座のリマッチを求めると思ったはずだが、
何と内藤哲也はIWGPではなく、ICのみのタイトルマッチを要求した。
これはそもそも王者時代分離での防衛戦を希望し、また統一にも反対していた
内藤哲也独特のアンチテーゼと言える行動だろう。
このICのみの対戦表明は大きな話題となったことを記憶している。
そして2月末の大阪城ホールで組まれた、この運命のIC選手権。
結果的には内藤哲也が敗れ、最後のIC選手権となってしまった。
そう、この戦いを終え新日本プロレスは正式に統一を発表したのである。
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その後の経緯はごく最近のことであるので皆さんも記憶に新しいかと思うが、
飯伏幸太は2冠王座を統一した王者として称賛されるのではなく、
どちらかというと歴史と伝統を破壊した王者とファンから思われたように感じた。
それはその後の大会の飯伏幸太の表情などを見ればよくわかるだろう。
ではそもそもなぜ飯伏幸太の王者時代にこの統一が実行されたのか?
また内藤哲也が2冠同時保持を掲げたころから、この方向は既定路線だったのか?
今となっては真相は藪の中、といった感じだが、
この時代にエンターテイメントを見せていく上では必然であったように思う。
現にあれだけ否定的であったプロレスファンの世論も、
今ではこのIWGP世界ヘビー級王座を受け入れている。
あとは新時代の新日本プロレスの象徴として
切磋琢磨しこれから歴史を作っていくということだろう。
そんな新時代の象徴には現王者オスプレイは適任と言えそうだが、
旧IWGP戦線を牽引してきたオカダや内藤哲也もこのまま引き下がってはいないだろう。
一つ言えることはどんな時代、タイトルであってもファンが見たいのは、
熱く激しい戦いであるはずだ。
これからのIWGP世界ヘビー級戦線にもそのような戦いを大いに期待して
今回の記事を終えたいと思う。