WK15 1.4東京ドーム大会メインイベント、
その一戦で内藤哲也は飯伏幸太に敗れ、2冠王者から陥落した。
この展開に私もそうであるが、まだ整理はつかないファンも
きっと多数いることかと思う。
以下は内藤哲也の試合後のコメントだが、
ここに内藤哲也の気持ちが込められているので、
まずはそちらをご覧いただきたいと思う。
(1.4 内藤哲也 バックステージコメント)
↓
今回の俺の選択、2日連続での防衛戦にチャレンジし、その初日で敗れてしまったわけだけど、後悔はないから。そりゃ2日連続でこの東京ドームのメインイベントに立ちたかったよ。立って、2日間とも花道を反対方向に歩きたかったよ。でも、後悔はないから。お互い今日勝っても、明日ジェイ・ホワイト戦が控えている状況。そんな中、今日、100%俺のほうだけを見てくれた飯伏幸太に俺は感謝してますよ。
それにしても、うまくいかないな。本当うまくいかないプロレスラー人生だよ。でもさ、こんなのも俺らしいかな? 俺らしいでしょ。俺らしいプロレスラー人生だよ。(机をバンバン叩いて)さあ、(もう一度机をバンバン叩いて)さあ、明日からいったいどこに向かおうかな? 何を目指そうかな? ちょっと今、わかんないけどさ。
でも、でも、はっきり言えることが一つだけあるよ。それは……俺はまたこの東京ドームのメインイベントに帰ってくるから。この東京ドームのメインイベントに、また必ず帰ってくるから。その時をトランキーロ、焦らずに、お待ちください。アディオス!
(引用:新日本プロレス公式)
このコメントから内藤哲也の気持ちを紐解くと、
・今回の自分の選択には後悔していない。
・飯伏幸太には感謝している。
・俺のプロレスラー人生は本当にうまくいかない。
・でもそれが俺らしい。
・そして俺は再び東京ドームのメインイベントに帰ってくる。
というようなことになるだろう。
この中で個人的に特に響いた言葉は、
俺のプロレスラー人生は本当にうまくいかない。でもそれが俺らしい。
という部分である。
この言葉こそが内藤哲也を象徴し、かつ内藤哲也の魅力であると感じる。
そもそも内藤哲也は若手時代、次世代エースと期待された男だ。
棚橋の次は内藤。つまり正統派エースの座を継承するとされていた。
しかしそれは自身のケガとオカダカズチカの台頭により、
叶うことはなく、それどころかベビーながら全国で、
ブーイングを浴びる存在となった。
そして正統派エースの座を捨て、LIJを創設しすべてを手に入れた
内藤哲也だがIWGPという頂点のベルトとの相性はかなり悪い。
今回で都合3回IWGPを獲得しているが、いずれも2回目の防衛で敗れ、
長期政権を築けないでいる。
また自身が旗振り役となった2冠王座もコロナ禍により、
全国のファンへの顔見せやタイトル別での防衛戦の実施など、
内藤自身が考えていた通りに事が進んだわけではない。
つまり内藤哲也のプロレスラー人生とは挫折の歴史と言ってもいいかもしれない。
しかし多くのファンは内藤哲也のそんな人間的な部分に惹かれていると思う。
それは私を含む多くのファンも、それぞれの人生で
同じようなことを経験しているからだ。
人は生きていれば、いいことも悪いこともある。
それはまさに内藤哲也のレスラー人生そのものである。
そしてその結果、内藤哲太が見せるプロセスに自身を重ね共感していく。
きっとこれが内藤哲也が多くのファンを魅了する根幹だろう。
これは完全無欠と言われるオカダカズチカが持ち得ていない、
唯一無二の彼の魅力であると思う。
そしてこの人間的な魅力はは今回試合後に
内藤哲也が見せたあの場面にも色濃く出ている。
それは下の写真にある、飯伏幸太にベルトを自分で渡したシーンだ。
↓
まるでケンカが終わった少年が仲直りし、大切なモノを渡しているように見える。
まさにジャンプの世界観であり、同じ時代を共有した二人ゆえのものであろう。
そう思うと、飯伏幸太が初めてIWGPを獲得する相手は
内藤哲也で良かったのかもしれない。
この光景を見て、個人的にはそう思った次第である。
ではここからは2冠王座を手放し、別の意味で自由になった内藤哲也が
次に我々に見せてくれるのは何かについて考えてみたいと思う。
よく言われることだが、内藤哲也は王者でない時の方が輝いているとされる。
それはあながち間違った見解ではないだろう。
個人的には2冠王者という呪縛から解かれ、
再び制御不能な姿を取り戻してほしいと思う。
思ったことを語り、そして思ったとおりに行動する。
あのLIJ創設から時代を掴んだ時のような姿を再び見たいと思う。
そう思っているファンもきっと数多くいることだろう。
王者の内藤哲也も魅力的だが、それ以上に制御不能な姿はより魅力的である。
もし内藤哲也が再び東京ドームのメインに戻ることがあれば、
次は原点回帰した、ある意味新しい姿でその座を奪ってほしいと思う。
そしてその時は今回できなかったドームの花道を戻るという夢が
叶うのではないだろうか。