2020年、新型ウイルスのパンデミックにより、全世界が未曽有の事態に陥っている。
それはもちろん日本も同様である。
そしてその影響は日本の経済にも大きな影を落としており、
またその影響は我々が愛してやまないプロレス界にも波及している。
代表的な一例として、ここは新日本プロレスを取り上げてみよう。
新日本プロレスが最後の興行を行ったのは、約2か月前のことである。
そして5月4日までの大会中止が決まっている。
ビッグマッチだけでも、旗揚げ記念日大会、サクラジェネシス、
どんたくの福岡国際センター2連戦などが中止になっている。
ちなみに前回の動員数は以下である。
旗揚げ記念日大会:4000人(2019年)
サクラジェネシス:9882人(2018年)*2019年はアメリカ大会開催のため実施せず。
どんたく2連戦:4011人+6105人(2019年)
この4大会だけでも約25000人の動員。一人頭チケット+グッズで@10000円としても、
推定損失額はざっと2億5千万円という巨額なものである。
再開の時期が見えないということは、
それはつまり損失額も底が見えないということである。
このような状態の中で、今プロレス界がやるべきことは以下の二つではないだろうか。
・プロレスファンを減らさないこと。(増やすこと)
・興行以外の収入構造を考え実行すること。
具体的に言うと、客数を減らさないアクションを続けることと
主要となる収入経路をスライドするということである。
顧客を減らさない、かつ増やすということは、
まず認知してもらい、興味、関心をひきつけなければならない。
それには継続的な発信が重要であることは言うまでもないだろう。
そしてまずは選手側、団体側からの発信であることが望ましいと思う。
このような時期だからこそ、
ファンは常に選手や団体の発信が待っているところがある。
大会があればファンはそれに合わせ、スケジュールを組んだり、
予想をしたりするので、プロレスを忘れることはないが今はそうではない。
だからこれまで以上の発信やアピールが必要になるわけだ。
例えば最近棚橋弘至からこんな発信がツイッターでアップされた。
なんかしたい!【 #むしろ光 プロジェクト】始めます☆
— 棚橋 弘至 (@tanahashi1_100) 2020年4月25日
これを見たファンは、棚橋弘至を思い出し、
このプロジェクトは何だろうかと想像するだろう。
つまるところ認知してもらい、興味、関心をひきつけ続けるには、
このような行動を続けるしかないわけである。
それも多くのレスラーが多くのファンに向け、発信を行うことが、
ファンを減らさない、つまり顧客を減らさないということにおいては重要である。
通常のビジネスに置き換えても、多くの営業マンが訴求する方が、
高い効果が見込めるのは自明の理であろう。
まずはあらゆるツールを使い、広く発信すること。
これがやるべきことのひとつであると思う。
次に書くことは、これからのプロレス界の必須事項になると思うが、
早急に興行以外での新たな収益の柱を見つけなければいけない。
各団体の売上に対する興行収入の割合はわかりかねるが、
相当な割合を占めていることは間違いないところだろう。
現状はその興行収入の見通しが立っていないわけであるので、
このまま手をこまねいていては業績が改善することはありえないということだ。
まずすぐにできることはより多くグッズを販売することであろうか。
対面販売が難しい今、販売の主要経路はECとなるだろう。
多くの団体はすでにその部分は整っているが、
まだ整備されていない団体は早急に着手するべきである。
ファンも家にいることが多いわけであるから、グッズのサイトを見る機会も
必然的に多くなるかと思う。
そう考えるとこの部分はチャンスと言えるのではないだろうか。
週刊プロレス 2020年 4/22号 No.2061【電子書籍】[ 週刊プロレス編集部 ]
しかしこれだけでは興行収入をカバーすることは不可能であることは事実だ。
そう考えると、やはり動画配信を収益につなげる必要があるかと思う。
方法としては、現在の動画配信サービスの有料会員を増やすか、
または動画自体を有料化する(広告をつける、PPV、投げ銭など)が考えられる。
まず新日本プロレスワールドなどの
有料動画配信サービスの 会員をふやすことであるが、
過去映像や企画ものだけでは、減少を食い止めることが精一杯ではないだろうか。
やはり有料動画配信サービスの一番の魅力は、
タイムリーに見たい大会が継続的に見れることにあるからだ。
それが今は出来ないわけだから、
こちらを伸ばすこと考えるのは現実的ではないだろう。
となるとやはり新しい試合映像を作成し、それを収益化する術が必要となる。
まだこれを上手く収益化出来ているところはないかと思うが、
考えようによっては上記が成功すれば、新たな収益の柱が見えることとなる。
地上波のように番組を作り、企業にスポンサーについてもらい、それを定期放送する。
これをYouTubeなどの無料配信コンテンツで出来ればそれが一番であろう。
または企業とタイアップし番組を共同で制作するなどの方法もあるかもしれない。
これらは今まで行っていなかったことをするわけなので、
実現には相当なハードルはあるだろうが、
一歩踏み出さなければ状況が好転しないことは事実である。
新たな収益の柱がこのGW中に少しでも見えてくれば、
観客を動員しての興行が先延ばしになっても、収益のカバーとなる可能性が出てくる。
これはどんな企業でも同様かと思うが、今できることを考え実行する。
文字にしてみると陳腐に見えるかもしれないが、生き残る道はそれしかないかと思う。
では今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。