新日本のエースである棚橋弘至。
数年前までは新春のドームのメインで戦うことが、
当たり前のようであったが、
近年はメインからは遠ざかっている状況だ。
そして今年はとうとう現状では、
その東京ドームという舞台への出場も危ぶまれている状況である。
以下のコメントはそのドーム出場の糸口としていた、
US王座権利証マッチに敗れた後のコメントだが、
出場への意欲はあれど、その方策は見つかっていないようである。
↓
さあ、どこに向かおうか? 東京ドームに行きてえなぁ。東京ドームで試合してえな。
(引用:新日本プロレス公式)
また現在出場中のWTLで優勝すれば、道は開けるのだが、
そのWTLも執筆時点ですでに4連敗と厳しい状況に追い込まれており、
タッグ方面での出場も現実的には難しいだろう。
ではいったい棚橋弘至はこの残されたわずかな時間の中で、
WK15出場へ向け、どのような方策を考えているのだろうか。
ここからはそれらについて書いていきたいと思う。
目次
棚橋弘至が狙えるタイトルとは?
まずはタイトル関連の方向について考えてみようと思う。
ヘビー級のタイトルで言うと、すでにWK15に向けて
IWGPヘビー&IC、US王座はその大枠が決まっている。
またIWGPタッグも上述したように、
現在開催中のWTLの優勝者が挑戦することになるはずなので、
そこもすでに道は閉ざされていると言えるだろう。
そうなると残されたタイトルは、NEVER無差別級、
そしてNEVERの6人タッグ王座のみとなる。
エースとNEVER。
これまでほとんど縁のないタイトルであったと言える。
しかしなりふり構っていられない今の棚橋の状況を考えると、
このどちらかのベルトに手を伸ばすことは
十分に考えられることだろう。
また棚橋の性格を考えると、このどちらかと言われれば、
おそらくシングルのNEVER無差別級を狙ってくるはずだ。
現在のNEVER無差別級チャンピオンは、ご存じの通り
新たなNEVERの申し子と言われる鷹木信悟である。
言葉を選ばずに言うと、以前のNEVERは正直IWGP関連の
タイトルと比べると、かなり格下という印象であった。
しかし今年初めて鷹木信悟がこのベルトを巻いてからは、
その充実した試合内容もあり、一気にその価値を高めている。
つまりレスラー自身が欲しくなるタイトルに
昇華していったということである。
そう考えると価値の上がったこの段階で、
棚橋弘至がこのベルトに狙いをつけてもおかしくはないだろう。
また今のところドームに向けて、
めぼしい挑戦者は名乗り出ていない状況でもある。
ここでもし棚橋が名乗りを上げれば、
血気盛んなチャンピオンは即座に受諾しそうである。
またチャンピオンである鷹木信悟から見ても、
棚橋弘至はおいしい相手であると言えよう。
初夏から始まった鈴木みのるとの抗争を終え、
次に棚橋弘至がその相手となると、
鷹木信悟はこの一連のNEVER戦線を通じ、
まさに新日本の歴史を体感するということとなる。
そう考えるとこの展開も案外非現実的ではなさそうだ。
次にNEVER6人タッグについてだが、
このタイトルは通常のドーム興行では、
アンダーカード扱いとなることが通例である。
俗にいう第0試合というヤツだが、
棚橋弘至は自らこの位置に志願することはないだろう。
もし最終的に出場することがあれば、
それはドームまでに何も自ら展開を作れなかったことを意味する。
棚橋自身もその展開はきっと避けたいはずである。
スペシャルシングルマッチという方向
では上記以外に棚橋弘至が、
WK15に出場する他の方策はあるだろうか。
それは前回のWK14同様、
別枠扱いのスペシャルシングルマッチである。
ここで昨年を振り返ってみると、棚橋弘至は2冠論争の中にも入れず、
かつ他のタイトル戦線にも乗れずテーマを見失っていた。
そこに飛び込んできたのがAEWからの刺客、
クリス・ジェリコであった。
↓
そしてこのビデオレターをきっかけに1.5東京ドームで
棚橋弘至対クリス・ジェリコのスペシャルシングルマッチ
が組まれることとなった。
この日米のリビング・レジェンド同士の戦いは、
全世界に大きな話題を提供したことは記憶に新しいところだ。
では今年も同様にそのようなスペシャルシングルマッチが
組まれる可能性はあるだろうか。
現状を整理すると、今現在昨年のように外国の大物選手からの
ビデオレターは届いていない。
もし今後そのようなことがあるとすれば、
12.11の武道館ということになるだろうが、
現在の社会情勢を考えると、その可能性は低いように思う。
つまり昨年のジェリコのような大物外国人との
対戦は考えにくいということである。
そうなると国内、つまり新日本プロレスの中からということになるが、
その筆頭となるのは、抗争の芽が勃発しつつある
グレート・オーカーンということになるだろうか。
二人の関係はオーカーンが海外遠征に行くまでは、
棚橋の付き人を務めていたということもあり、
その部分でのストーリーは必然的に構築されている。
また”dominator”侵略者として帰ってきた
オーカーンにとっては、新日本のアイコンである棚橋弘至は
おいしい獲物であると言える。
オーカーンにとってもオカダに代わる次の抗争相手が
棚橋弘至となればファンから寄せられる期待も、
さらに大きいものになるだろう。
この展開が現実となれば、昨年のジェリコとは、
その趣が大幅に変わることとなるが、
棚橋弘至にとっても悪い展開ではないように思う。
まとめ
オカダカズチカが登場する以前は、
IWGPヘビーの象徴であった棚橋弘至。
そしてそのIWGPヘビーの象徴がオカダに移ってからも、
ドームのメインは譲らなかった棚橋弘至。
しかしここ数年はドームの出場自体も危ぶまれる立場となった。
また凱旋帰国した選手の壁となる役割も、オカダに移行しつつある。
つまり明らかに戦いのメインストリームから
外れつつあるわけだが、それでも棚橋は自ら諦めることはしないだろう。
しかし今の立場をIWGPに縛られることのない、
自由な立場であると考えれば、選択肢はまだまだ残されていると思う。
世代交代。ありきたりに言えばその一言だが、
それは誰にでもいずれは訪れる話だ。
それは現2冠王者内藤哲也にも、そしてオカダにもいずれはやってくる。
棚橋弘至が東京ドームへたどり着くには、
上述したように細い糸しか残されていないと言えるだろう。
しかし彼の悪あがきを見たいのは、私だけではなく
多くのファンも同じ思いであるかと思う。
悪あがきするカッコ悪いエース。
それも多くのファンが応援したくなる棚橋弘至の姿ではないだろうか。