いよいよ間近に迫った飯伏幸太と内藤哲也による
インターコンチのベルトを賭けた戦い。
ここにきて両者の主張がようやく明確になり、
この戦いはインターコンチのみならず、IWGPヘビーの意義をも巻き込んだ
イデオロギー闘争の様相を呈してきた。
統一を目指す王者とその王者の意向に反対し阻止しようとする挑戦者。
やはりタイトルマッチはこれくらい対照的な主張の
ぶつかり合いがなければ面白くない。
二人の主張が反対であればあるほど、ファンはそれを楽しみ両者のどちらかの
主張を応援することになる。そしてそれが盛り上がりを生み大きなうねりを巻き起こす。
これは二つのベルトが同時に保持されてからは久しくなかったことかもしれない。
そう考えるとこのタイトルマッチはこれからの流れを左右する
ターニングポイントとなる試合になりそうだ。
さて、変化することをいとわず統一という新たな概念を掲げ、
それを通行手形に世界への進出も目論む飯伏幸太と
IWGPヘビー級王座こそ頂点のベルトであると主張する内藤哲也。
両者の主張をまとめるとこのようになると思うが、
これは二人がこれまで歩んできた道のりと関係しているように思う。
ご存知の通り飯伏幸太のルーツはDDTであり、
そこを起点にさまざまな経験を重ね新日本プロレスに辿り着いた。
一方内藤哲也は、これも皆さんご存知の通りファン時代から
新日本プロレスのみを愛し、現在もそれは全く変わっていない。
それゆえに飯伏は統一という変化を主張できるのだろう。
しかしそれはIWGP王者となることを夢見て、それを実現した内藤哲也にとっては
新日本の歴史を否定されたように感じたのかもしれない。
さてそんな二人の戦いの先にある未来とはいったいどのような世界だろうか?
改めて書くが今回のタイトルマッチで賭けられるタイトルはICのみである。
よって起こりえるパターンは、
飯伏が勝利した場合=そのままIWGPヘビーとICを保持
内藤が勝利した場合=内藤哲也がIC新王者となり、飯伏はIWGPヘビー級王者。
つまり飯伏幸太はどのような結果になってもIWGPヘビー級王者のままであるが、
もし今回のタイトルマッチで敗れた時、その意義を問われることは避けられないはずだ。
それは二つの王座の中で格下とされるICを獲られて、
至宝のベルトとされるもう一つのベルトを巻いていていいのか?
という率直な疑問である。
これはファンのみならず、ベルトを狙う立場のレスラーからも問われる疑問かと思う。
そう考えると大阪城大会直後に行われる旗揚げ記念日大会やその先にあるNJCに
この問題が影響することになるだろう。
そこでカギを握るのはやはりこれまでにIWGPヘビーを戴冠した選手たちの動向だ。
ここ数年間の王者の象徴と言えるオカダカズチカや新日本のアイコンである棚橋弘至、
そして飯伏へのリベンジを狙うジェイ・ホワイトも黙ってはいないだろう。
彼らは今のところ統一という提案に対しての自身の主張を公にしていないが、
もちろんそれぞれの想いというものは持っていることだろう。
そんな彼らの主張、つまりイデオロギーというものが公になり、
それがぶつかり合ったとき、さらにこの王座をめぐる戦いは白熱するはずだ。
もしかすると王座を狙い多くの選手の想いがぶつかり合うことこそ、
ファンが求めている新日本プロレスのあるべき姿なのかもしれない。
そう考えると今回のICの戦いを起点に、
これから壮大なストーリーが始まるのではないだろうか。