至極の名勝負
11.17後楽園大会のセミファイナル。
WTL公式戦、鈴木みのる・ランスアーチャー対タイチ・ザックセイバージュニア。
このカードを見たとき、面白い対決になることは予想できたが、
その予想をはるかに上回る、至極の名勝負となった。
他団体をほぼ見ていないので、その点はいかんともし難いが、
間違いなく新日本の今年のタッグにおけるベストバウトであるかと感じた。
今日はそのあたりを書いていこうと思う。
大会をもっていった名勝負
まずはこの写真をご覧いただきたい。
(出典:すべて新日本プロレス公式)
この写真で全てが判ると言って過言はないだろう。
まず試合前のみのるとタイチのにらみ合いにゾクゾクした。
先日の内藤哲也との一戦で見せた表情より、更に厳しい表情に映った。
自身の格が上がったこともあり、いつまで鈴木軍に・・・という声もあるタイチだが、
心底ボスのことを尊敬しているのだろう。
もしタイチがユニットを抜けることがあるなら、
それは本当の意味でボスを超えたときかもしれない。
そしてその時が来ればみのるは快くタイチを送り出すだろう。
鈴木軍から追放とするという、みのる流のスタイルで。
そんなことを考えると、かなり感慨深いものがある。
さて試合の方たが、同じユニットと言っても、手加減などは一切なし。
むしろいつもより厳しい攻めであったかもしれない。
とくにみのるとザックのエルボーの攻防は見る者の胸を打つものがあった。
あのザックがみのるに対し、ノーガードで打ってこい!と言ってるのである。
もちろんみのるもそれに応え、思いきりエルボーを叩き込む。
それを受け倒れこみ、痛がるザック。
しかしザックの顔は心なしかうれしそうに見えた。
そして自分にはザックが若手のように見え、師匠の攻撃を受け楽しそうに見えた。
こんなザックの表情を見るのは初めてであったのでグッと来たことは否定できない。
あまり試合を見てこのような気持ちになることはないので、
やはり今回のタッグマッチは特別であったということだろう。
最後はザックがみのるを丸め込みで下したが、勝敗はもはや二の次に感じた。
全員がそれぞれ持ち味を出し、鈴木軍ここにあり、をファンに改めて
植え付けたことが最大の収穫だろう。
WTLはもちろん、それ以降の鈴木軍の活躍を大いに期待したいと思う。
ボスの胸の内
SNS上でも称賛の嵐であるこの戦いだが、
みのるにとってはしてやったりというところだろうか。
もしくは鈴木軍同士が戦うのだから、これくらい当たり前という気持ちか。
みのる自身、期せずしてG1をエントリー漏れとなりWTLにかける気持ちが強いのかもしれない。
今回は同世代の第三世代も出場しているが、比較すると動きはやはり出色である。
まあ、みのる自身は比べてくれるな!というだろうが。
みのるから見ると、他のメンバーがベルトを獲得したり、
メインストーリーに加わることは嬉しいことかもしれない。
しかしそれは、みのる自身がそこから脱落することと表裏一体でもある。
そんなことはプロレス王の異名を持つ男が許さないだろう。
どんな手を使ってでもチャンスを自ら奪いに行くはずだ。
そしていつまでもリング上でこう叫んでいて欲しい。
『鈴木軍、イチバ~ン!』
では今回も最後までお付き合いありがとうございました。
まだまだWTLは続きます!