
少し前の話となるが、8.17有明アリーナで新日本プロレスの真夏の祭典、
G1CLIMAX35の優勝決定戦が行われた。
その舞台に昇りつめたのは、新日本プロレス、唯一無二のトップヒールであるEVILと
三団体所属のKONOSUKE TAKESHITAだ。(以下竹下幸之介)
この二人が優勝決定戦の舞台で戦うことを予想したファンはそう多くないはずだが、
どちらも勝てば初優勝という新鮮な組み合わせであった。
結果はすでに皆さんもご存知の通り、竹下幸之介が初優勝をはたしたが、
個人的に注目したいのは試合終盤で発生したEVILへの声援だ。
通常、新日本プロレス一のヒールであるEVILに声援が送られることはなく、
ブーイングを浴びるのが常だ。
またその介入ありきの試合内容から、度々炎上することは
皆さんもよくご存知のことだろう。
そんな批判の的とも言えるEVILがG1の優勝決定戦という舞台で
なぜ声援を受けたのだろうか?
それは一言で言うと、多くの新日本プロレスファンの、
生え抜きが優勝してほしいという思いの表れではないだろうか?
この日の相手の竹下は3団体所属という立場であり、
もちろん生え抜きでもない。
つまり立ち位置とすれば外敵と言える存在だ。
これまで外敵と言える存在のレスラーがG1を獲得した例はなく、
ファンとしてもG1はやはり新日本プロレスの選手が取ってほしいと
思っている方が多いのは間違いないだろう。
つまりファンや団体とすればG1は最後の砦であるという意味合いがあったと思う。
それが竹下幸之介という強大なレスラーによって破られそうになったことへの
悲鳴とも言えるものだったのかもしれない。
そして声援のもう一つの理由としては、これまでのEVILに対する評価かと思う。
ヒールという立場ではあるが、新日本プロレス愛に溢れていることは
多くのファンの方も気づいているはずだ。
そう考えると多くのトップレスラーが抜け、ピンチとも言える状況の中で、
新日本プロレスのために頑張っているEVILに声援が送られたことは
ある意味自然なことかもしれない。
そんなことを感じた今年のG1CLIMAX優勝決定だったが、
はたしてこの先はどうなっていくのだろうか?