ウィル・オスプレイ、グレート‐O-カーン、ジェフ・コブという
圧倒的な個の力を持つレスラーにより、
現在新日本プロレスを侵略中のTHE EMPIRE。
と言いたいところだが、その侵略は本当に進んでいるのだろうか。
これは個人的な印象だが、まだまだユニットの方向性を模索しているように感じる。
おそらく同じような思いを持っているファンは多いのではないだろうか。
現在この3人はそれぞれ抗争相手が明確であり、
WK15のカードも全員決まっている。
出場できない選手が多い今年のドーム大会だけに、
この部分においては順調であると言えるだろう。
また皆さんご存じかと思うが、念のために各選手の抗争相手を書いておくと、
オスプレイはオカダ・カズチカ、オーカーンは棚橋弘至、
そしてジェフ・コブは鷹木信悟となっている。
この流れの中、EMPIREのメンバーがドームで全勝と行けばいいが、
もしここで逆の目が出ると、一気にユニットの勢いは衰えてしまうだろう。
この3人にとっては負けられない戦いであることは言うまでもない。
では少し話がそれたが、ユニットの方向性の話に戻したいと思う。
THE EMPIREに対して感じる違和感のようなものの正体はいったい何だろうか?
それはまず立ち位置としてヒールユニットであるのか?
それともそうでないのか? その部分がいまひとつ明確でないように思う。
リングやコメントなどを見てみると、明らかにベビーではないが、
かといって思い切りヒールに振り切っているわけでもない。
これは個人的な主観となるが、その立ち位置が微妙であるので、
どのようにこのユニットをファンが見ればいいのか伝わっていないように思う。
善なのか、悪なのか、それとも別の概念なのか、
まずはその部分をファンに伝えることが必要ではないかと思う。
また別の見方としてはユニットの統一感というものも要因にあるような気がする。
それは決して悪いというわけではないが、メンバーの個性が強すぎるがゆえに
他のユニットのように団体としての統一感が見えない気がする。
言葉にするには難しい部分なのだが、LIJやBC、鈴木軍には
各ユニット独特の色があり、メンバーを見ても統一感を感じる。
ファンになる最初の入り口としては、
この部分がきっかけになると思うので、
かなり重要なところであると言えるだろう。
つまり各メンバーの独自性があるのは素晴らしいのだが、
その個の部分が強すぎるとまとまりを欠くということが言えるかもしれない。
ここまでをまとめると私が感じているTHE EMPIREに対する違和感の正体は、
・ユニットとしての方向性
・メンバーの個性が強すぎるが故の統一感の欠如
ということになる。
しかしここまでいろいろなことを書いてきたが、
ユニットとしてはまだ始まったばかりの、
THE EMPIREにはこれから無限の可能性があると言えるだろう。
オスプレイ、コブの圧倒的な実力はもちろんだが、
個人的には特にオーカーンに期待している。
その個性的すぎるキャラクターにより、忘れている部分があるが、
オーカーンはまだ海外遠征から帰国したばかりの実は若手である。
インパクトの違いはあるが、凱旋帰国後ここまで一気に
ポジションを獲得したと言えるのは、
近年では高橋ヒロム、ジェイ・ホワイト以来ではないだろうか。
ここまでオーカーンが帰国後抗争を繰り広げてきた相手は、
オカダ・カズチカ、棚橋弘至と新日本の顔とも言える二人である。
オカダにはシングルマッチで敗れてしまったが、
来たるWK15でもし棚橋弘至を下すことがあれば、
一気にそのポジションを上げタイトル戦線に加わってくる可能性もある。
そう考えるとTHE EMPIREの本当の意味の覚醒は
このオーカーンの今後の活躍にかかっているとも言えるだろう。
間近に迫ったWK15で新たな帝国は侵略に成功し、
オスプレイの言う新時代を築けるのか。
大いに期待したいところである。