今シリーズ最終戦広島大会にて行われる、飯伏幸太とSANADAによるIWGP２冠戦。
飯伏幸太にとっては初防衛戦、そしてSANADAにとっては
初戴冠を狙うタイトルマッチとなる。
今シリーズは各ビッグマッチで数多くのタイトルマッチが組まれている。
その中でも最高峰のこの2冠を巡る戦いが最も注目されるべきかと思うが、
実際のところはどうだろうか。
前哨戦や各選手のコメントなどを見ていると、
残念ながらそうではないような気がしている。
他のタイトルマッチは王者と挑戦者の間でコメントのやりとりを通じ
盛り上がりがうかがえるのだが、この2冠戦に限っては
いまひとつ噛み合っていない印象だ。
それは以下の1.21埼玉大会の飯伏のコメントを見ればわかるかと思う。
↓
もうさぁ、俺らさぁ、試合……やめる？ どうする？ どうしたい？ このベルト、どうしたらいいですか？ 僕はもっともっと楽しみたい。試合を楽しみたい。そして、もっと、チャレンジャーの話が聞きたい。もっともっと、しゃべりたいです。何か、話をしてください。僕と一緒に
（引用：新日本プロレス公式）
飯伏幸太はまさかの『もう、試合やめる？』というコメントを残している。
つまり2冠王者は黙して語らぬ挑戦者を前にして困っているということであろう。
現代のプロレスにおいては試合以外の部分であるコメントやSNSなどの
やりとりは対戦を盛り上げるための大きな要素であるが、
この2冠戦に関してはその部分が欠けているため、
ファンもいまひとつ乗り切れていないのが実情であろう。
現状はチャンピオンとしてあまりよろしくない展開である。
これはつまり残された期間で2冠を争う二人は
タイトルマッチを盛り上げるべく現状を変えていく必要があるということだろう。
ではこれからタイトルマッチまでに何ができるだろうか。
ここでのポイントはやはり現状ほぼコメントを残していないSANADAであろう。
彼にとってはこれは通常運転であるが、今回は挑戦者という立場である。
普段ほぼコメント残さないSANADAが何かを語るとなれば、
それは逆説的に大いにファンに関心を集めることになるだろう。
飯伏への想いや2冠戦に対する考え方、また戴冠後のプランなどを
どこかの機会で語る必要があるかと思う。
IWGPヘビーに強いこだわりを持つSANADAが、
2冠王座を獲得すればいったいどのようなプランを持っているのか、
個人的にも気になるところである。
これは私だけではなく多くのファンも思っていることであるはずなので、
SANADAのインタビューをぜひ実現し、彼の想いを伝えてほしいと思う。
ではチャンピオンである飯伏幸太は何をするべきだろうか。
前王者である内藤哲也が雄弁であっただけに、比較されることは仕方ないが、
現在提唱している2冠統一などを、より具体的にファンに伝える必要があるだろう。
飯伏幸太の語る言葉は、『神になる』発言などを見てもそうだが、
基本的に抽象的なことが多い。
彼が言いたいことは何となくわかるのだが、
それがいったいどういうことなのか、何を意味しているのかなどが
ファンに理解されているかというとそうではないだろう。
つまり2冠統一の話であれば、
飯伏幸太は統一すればこれまでにない凄いことになる！と語っているが、
その凄いこととは具体的に何なのかをファンに伝えなければいけないと思う。
何をするのかわからない部分や何を言うかわからないというところは、
飯伏幸太の魅力の一つであるが、新日本プロレスという団体を背負う立場である
チャンピオンとなれば求められることは当然変化することになる。
飯伏幸太がSANADAともに自分の想いや主義・主張を語り、
それがファンに伝われば、きっとこの二冠戦はさらなる盛り上がりを見せるだろう。
リング上においての天才性は業界屈指とされる二人であるので、
試合内容はG1決勝戦に引けを取らない戦いになるはずだ。
それをより多くのファンに見てもらうためにも、そしてプロレスを広げるためにも
今後二人が何を語ってくれるのかに大いに期待したいと思う。
