先週末に行われた新日本プロレスの大会にて、
今年のベストバウトと言うべき二つの名勝負が繰り広げられた。
その二つの戦いとは3.13愛知大会で行われたKENTAvs鈴木みのるの一戦と
翌3.14尼崎大会で行われたウィル・オスプレイvsザック・セイバーJrの一戦である。
すでにリアルタイムで見たファンの方も多いと思うが、
もしまだ見ていないという方がいれば、まずは先入観なしで見てほしいと思う。
この二つの戦いを見ると、きっとそこにはプロレスファンが惹きつけられる要素が
詰まった戦いが繰り広げられていると感じるはずだ。
そしてこれぞ新日本プロレスという戦いのテイストが
この二つの戦いからは色濃く感じられることだろう。
それがまた生え抜きでない4人によって
繰り広げられていることも趣があると言える。
もしかすると彼らのような生え抜きでない方が
現状に危機感を感じているということかもしれない。
そんな4人によって繰り広げられた極上の戦い、
ここからはその二つの戦いを振り返っていこうと思う。
まずはKENTAとみのるの戦いから進めていきたいと思うが、
KENTAはまずみのるの入場時から新聞を広げるなど心理戦を仕掛けてきた。
↓
ここまでは新日本に来てからのバレットクラブの姿であったと思うが、
中盤あたりからはその姿は消え、みのるとバチバチのシバキ合いを繰り広げた。
この辺りのKENTAはまさに前回みのると対戦時のKENTAに戻っていたように思う。
つまり若くて尖っていたあの当時の姿だ。
古くからプロレスを見ているファンの方はそう思った方も多いことだろう。
それを引き出したのは紛れもない鈴木みのるという存在であるが、
二人には共通してこの戦いを見せたい人がいたのではないだろうか。
それはプロレス界の帝王 高山善廣である。
皆さんもご存じのことかと思うが、現在高山善廣は長期療養中である。
いつ終わるともわからないリハビリを続けていることは皆さんも目にすることはあるかと思う。
二人にとって高山善廣はともに盟友といっていい存在だろう。
鈴木みのるにとっては高山は自身を純プロレスに誘ってくれた存在であるし、
KENTAにとってもNOAH時代自身が立ち上げたユニットでともに戦った仲間である。
そのような背景もあり二人は今回の戦いを療養中の高山善廣に捧げたのかもしれない。
それはKENTAの試合後のコメントの中にさりげなく込められている。
いや、きつかったな、正直。効いたわ。効いた……。もうすごい効いた。でも、勝ったのは俺。負けたのはミズキ(鈴木みのる)。それが事実だから。高山(善廣)さんが見て喜んでくれる試合だったらいいな。
(引用:新日本プロレス公式)
そう考えるとこの二人が見せたバチバチの戦いは、
実にエモーショナルな戦いであったと言えるのではないだろうか。
では次はもう一つの名勝負である、ザックとオスプレイの戦いに進んでいきたい。
母国であるイギリスでは数えきれないくらい戦ったと言われている二人だが、
それを証明するように、それぞれの持ち味を出し切った最高の試合を魅せた。
二人のレスラーのタイプはご存じの通り、完全に真逆である。
オスプレイはハイフライヤーでありつつ、パワーも備わった
純プロレスの最高峰とも言える存在だが、
一方ザックは世界最高峰のサブミッションマスターの名にふさわしい、
多彩な関節技の使い手である。
その二人の特徴が最高にうまくかみ合いこの試合は、
SNSなどでは今年のベストバウトではないかという声が飛ぶほどの試合となった。
私もこの試合はリアルタイムで見ていたが全く同じ感想を持った。
この試合に関してはこの場でいろいろ語ることは逆に野暮なことだろうと思う。
まだ見逃している方はご自身の目でこの試合を確認してほしいと思う。
きっと同じ気持ちを持たれるのではないだろうか。
さて今後NJCは決勝に向けさらに佳境を迎えていくことになるが、
その中でこれらの試合を超える戦いが生まれる可能性も大いにあるだろう。
これぞ世界最高峰と言われる新日本プロレスという戦いを期待し
今後もこのNJCを追いかけていきたいと思う。